| 1961年 (昭和36年) 7月25日 火曜 | 前の記事 | 目次 | 次の記事 | |
| ライヴ演奏:キャバーン・クラブ (夜) /リヴァプール | ||||
  
  ビートルズのキャバーン・クラブ (Cavern Club) 
  の4回目のイブニングショー。
  他の出演者はザ・ブルー・ジーンズ (The Blue 
  Genes)、ジェリー&ザ・ペースメーカーズ (Jerry and The 
  Pacemakers)、ザ・レモ・フォー (The Remo Four)。
             
  
| 僕の友だちのブライアン・ハーニー (Brian Harney) はキャバーンに通ってて、僕に「このバンドは見なきゃいけない。本当のプロだ。」と言った。僕はキャバーンに行くのを控えていた。なぜならキャバーンのランチタイムショーから戻って来たOLたちは、コートからひどい匂いを発していたからだ。それは消毒の匂いと墓を掘り返した匂いと下水の匂いの不思議なミックスだった。道ですれ違っただけでもキャバーンに行ってたことがわかるんだ。それでもどうしてもとブライアンが言うので、初めてランチタイムに行ってみた。キャバーンに着くと急な階段があった。あの急勾配は今なら許可されないだろう。暗かったので僕は階段でつまづいた。階段を降り切ると赤いランプがあって左に曲がるが、さらに2つか3つ階段がある。そして同じ赤いランプを灯したテーブルがあった。ものすごい騒音で、僕はバス・ドラムの音で胸がへこむかと思ったよ。そのバンドはメンフィス・テネシー (Memphis Tennessee) をやっていた。初めて聞く歌だった。そしてそのバンドがビートルズだった。僕は背伸びをしてそのバンドを見た。そして僕のあらゆる感覚はこの途方も無いバンドに襲撃を受けた。ジョン・レノンはアップライト・ピアノに背を向けて、曲の合間に鼻をほじくっていた。僕は思った「なんとこいつは鼻をほじくってギャラをもらい、その彼に女の子たちは絶叫している。」しかし実際はうしろにいるピート・ベストに彼女たちは叫んでいたのだった。しかしピートはまったく意に介していないようだった。すごい自信家だ。彼はホワイト・パール色のプレミア (Premier) のドラムセットを叩きのめしていた。ポール・マッカートニーは今の彼とまったく同じだった。彼らはすごいサウンドを持っていた。僕は1961年の7月から12月までがキャバーンの黄金期だったと思う。ブライアン・エプスタインがビートルズを連れて行ってから物事は変わった。当時はアルコール、ましてや薬もなかった。それでも客は顔を赤らめ、熱くなり、陽気になって帰っていったものだった。 | |
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         テリー・マッカスカー   
        (ザ・ロードランナーズ)   |               
    
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